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教室につくと、まずは黒板で自分の席を確認する。
教室はすでに7割ほどのクラスメイトが集まっており、みな、周囲をキョロキョロと見回している。恐らく、このクラスにはどんな奴がいるのか、誰が陽キャで、誰が陰キャか。自分が仲良くするべき人はどいつか。
そんな風に思考を巡らせながら、クラスメイトを分析しているのだろう。
陸はなるべく観察対象にならないよう俯き、気配を消しながら移動し、自席に座る。
高校の教室の中には、キラキラ甘酸っぱい青春だけでなく、ドロドロとして苦く残酷でシビアなカーストがあるのだ。
陸はいつも自らその最下層に身を置く。正直に言えば、容姿だけ見れば、カースト上位になりうるくらいには整っている方だと思う。
しかし、友人関係に求めるものは容姿よりもむしろノリの良さや、話しやすさだ。
その点では陸は間違いなく底辺中の底辺だ。はじめは顔だけ見て、男女共に話しかけてくる人もいるが、意外にも聡い高校生はすぐに、こいつは面白くないやつと、陸に判定を下す。
いじめられることなどはないが、仲の良い人もいない。1、2年次のカーストはそんなところで、とても楽だった。
ということで、今年も同じカーストを目指そうと、陸は心に決めている。
話しかけられても単語で返し、主にうつむいていれば、容易く同じ判定を下してくれるだろう。
周囲ではみな様子を見ながら、徐々に会話をはじめ、相性を確かめ合っている。
陸はみんなすごいなと他人事に思いながら、冷たくなった手のひらを擦り合わせた。
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