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娘の名はアリアンナ・エドゥアルドヴォ・コンドラチェンコワといった。あとで聞いたが年齢は三十一になるという。ややぽってりとした唇と、笑うと際立つエクボが特徴的な顔立ちだ。強いて言えば、ミランダ・カーに似ているか。体型はモデル並みのプロポーション。セルゲイも美男子だが、この兄にしてこの妹ありといったところか。
その瞳に妖艶な光が感じられたのは一瞬のことで、本田を部屋に招き入れた後のアリアンナは、至って気さくな明るい態度で接してくれた。
「ちょうど良かったわ。日本人のお客さんが来たなら一度試してみたい料理があったの」
「いいね! いつもよりうまい夕食にありつけるなら大歓迎だ!」
アリアンナの提案に、呼吸を合わせてセルゲイも歓声を上げた。
「風味付けのために日本製のカレールーを買っておいたのよ。これでカレーライスを作ります」
「ほう、日本で最もポピュラーな料理なんだろう。カズマ、ロシアに来てからは食べてないよな?」
「ああ、そろそろ日本食が恋しくなっていた頃だ、うれしいね」
「ライスも炊き上げますから一時間ほどお待ちくださいな。カズマさんのお気に召しますようにがんばるから」
「ようし、じゃあ夕食が出来るまでヴォトカで酒盛りだ。カズマ、それだけロシア語が達者ってことは、きみもイケル口なんだろう? 」
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