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出会い
俺は金山夢次郎。俺はよく他人からは育ちの良い箱入り息子だとよく言われる。なにせ、小中学で男友達から付けられたあだ名は、「ぼんぼん」だった。
俺は親の持っているアパートを3つ程生前贈与してもらって、22歳の若さで不労所得で生きている。一生働かなくても金に困らない事が確定した俺は、色々考えた末に海の綺麗な地方に引っ越しをした。
そこで、個人的な趣味として小説を書きながら、細々と生活をする事に決めたのだった。
そんな俺にも悩みもあった。と言うのも、刺激に欠けた生活を送っているからか、上手く小説が書けなくなってしまったのである。
(はあ。今日も一文字も書けないまま無駄に時間を過ごしちゃったな。)
行き詰っていた俺は気分転換をする為に、海辺を一人で歩いていた。
元々、海は好きだった。その傍にいたいと思って、引っ越しをしたくらいに。
スランプになっている今でさえ、海を眺めるのは楽しかった。
そんな風に景色を眺めて癒されていた俺は、一瞬後すごく驚かされる羽目になる。
「あれ、人じゃないか?」
思わず、口から声が出てしまった。海辺に俺より少し年下ぐらいの年齢の人が倒れていたのである。意識を失ってしまっているのか、ピクリとも動かない。
慌ててその海辺に倒れていた人の元に駆けよった。大丈夫ですかと声を掛けても返事がない。よく見ると、不思議な事にその人は上半身が裸で下半身は魚のようになっていた。
これが俺の彼との出会いである。
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