千代の初夜

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「千代の足、ほんまに冷たい。すぐ温めたるからな」 源太は両足で千代の足を片方ずつ挟んで擦った。 踵がジャリジャりしてちょっと痛かったけど、千代は足と一緒に心が温かくなるのを感じていた。 足が摩擦でポカポカと温まりきると、源太は、 「あんな。結婚したらな、一緒に寝るとき、なんかする事あるねんて」 と言った。 「うん。知ってる…」 そう千代が答えると、 「もうそういうの知っとるんか?」 と、源太は驚いて起き上がった。 それにつられて千代も身体を起こした。 「ちゃう。そんなん。した事はないねんけど…」 「ああ、良かった。なんや、わしもそんなんした事ないから」 と源太は安堵した。 「あんな、桃の節句でな、色々教えてもらうねん」 「そうなん?」 「うちの近くに、元芸妓さんがおってな。ええ人で、色々そういう、艶っぽい事、お嫁に来る前に教えてくれた」 「頼もしいご近所さんや。なあ、ためしてみんか?」 千代は、フデ哉から話を聞いてからこの日が来るのを楽しみにしていた。
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