13人が本棚に入れています
本棚に追加
「千代の足、ほんまに冷たい。すぐ温めたるからな」
源太は両足で千代の足を片方ずつ挟んで擦った。
踵がジャリジャりしてちょっと痛かったけど、千代は足と一緒に心が温かくなるのを感じていた。
足が摩擦でポカポカと温まりきると、源太は、
「あんな。結婚したらな、一緒に寝るとき、なんかする事あるねんて」
と言った。
「うん。知ってる…」
そう千代が答えると、
「もうそういうの知っとるんか?」
と、源太は驚いて起き上がった。
それにつられて千代も身体を起こした。
「ちゃう。そんなん。した事はないねんけど…」
「ああ、良かった。なんや、わしもそんなんした事ないから」
と源太は安堵した。
「あんな、桃の節句でな、色々教えてもらうねん」
「そうなん?」
「うちの近くに、元芸妓さんがおってな。ええ人で、色々そういう、艶っぽい事、お嫁に来る前に教えてくれた」
「頼もしいご近所さんや。なあ、ためしてみんか?」
千代は、フデ哉から話を聞いてからこの日が来るのを楽しみにしていた。
最初のコメントを投稿しよう!