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テスト前のさとみの柘榴
『テスト前のさとみの柘榴』
私の蕾がぷくりと硬くてもう痛い程。
これは私達が種を存続させる為に神が与えた肉体の反応。
ここから先、私はどうしたらいいの?
愛ってすごい。愛ってすごい。形は無いけど身体でこんなに感じられるものなのね。
私がどうにかしなくても、貴方がこの熱を帯びた蕾と遊んでくれるのね。
蕾の下の泉から、ぬるぬると湧き出る生命(いのち)を潤す不思議な液体を貴方は指で掬い上げ、その液で覆われた指で優しく、私の小さな右胸の上の葡萄の実をくるくると撫で始めた。
「あっ・・・あ・・・」
声が漏れる。
心臓の鼓動のおかげで少しだけ大きな左胸も、貴方の舌が孤独にさせなかった。
貴方が葡萄を舌で優しく転がすと、私の腰が連動して浮き上がり、貴方を招きたい、招きたいと波立ち始める。
こんこんと絶え間なく湧く生命の泉に、貴方の暖かいそれが入ってきた。
あああああっ!!
突き抜けた悦びで全てを忘れそう。
積分・・・変数、が十で・・・その・・・あっ。異なる文・・・字っ。Xと大小に・・・応・・・じ・・・絶対値・・・記号の・・・。あっあっもう。
さっきまで教えてくれてた積分変数が、泉と一緒に溢れ出し流されてしまう。
だめ。留まって。いかないで。ここにいて。
貴方は最初のテストで、ハグのご褒美をくれた。
次のテストで、口づけのご褒美をくれた。
次の次のテストでは、貴方の舌が私を愛してくれた。初め恥じらったけど、私はその日に解放されたの。
日を追うごとに、私の蕾が膨らんで、咲ききる前に貴方が去ってしまうから、私は痛みで泣くしかなかった。泣いて自分で自分を慰めるしか仕方がなかった。
悪い事はしていない。悪いことなんかしていない。
もうテスト前でも、私達は関係なく交じり合った。
ママがもし、お茶を持って入ってきても、構わず続けるわ。
ああ、貴方を雇ってくれた両親に感謝します。勉強も頑張ります。
貴方は私の毎日ベッドから起きる動機なの。
私は毎朝一度裸になり鏡の前で、貴方に愛される身体を隅々まで見るようにしている。ぬかりはない。そこに触れたい衝動を抑えて私は自分の指を噛む。
明日のテストも良い点を取るの。そうしたら貴方の口の中にいる器用な紅色の生き物が私の蕾と戯れ合うのでしょう。
貴方は私の上で大きく波のように引いたり押したりを繰り返しながら私の耳を唇で噛んだ後、こぼれるように愛おしく、名前を囁いた。
「きよみ・・・さん・・・」
・・・私は、さとみ。
いつかきっと、貴方のその唇から母の名前ではなく、私の名前を呼ばせてみせる。
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