豚の糠喜び

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 ある日、広大な土地に一匹の豚がいた。 その豚は何不自由なく暮らしていた。食事も、寝床も、自由に駆け回れる広大な土地も、全てがそこにあった。 しかし次の年、その年は年中日照りが強く、雨も降らなかった。 草木は次第に枯れ、食料も底を突いた。 乾いた広大な土地だけが豚に残された。 豚は泣いた。そして願った。 泣いている豚を哀れに思った神はたくさんの雨を降らした。 豚は喜んだ。豚は嬉しかった。豚は走り回った。 走ったので、豚の体は泥まみれになった。 神には泥の地面と泥にまみれた豚を識別出来なかった。神は、豚が神の温情を忘れ逃げたと怒り、その土地に嵐をもたらした。 広大な土地は一瞬にして泥水と化し、豚は沈んだ。 豚は埋まった。                  END
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