4人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
ある日、広大な土地に一匹の豚がいた。
その豚は何不自由なく暮らしていた。食事も、寝床も、自由に駆け回れる広大な土地も、全てがそこにあった。
しかし次の年、その年は年中日照りが強く、雨も降らなかった。
草木は次第に枯れ、食料も底を突いた。
乾いた広大な土地だけが豚に残された。
豚は泣いた。そして願った。
大雨を
泣いている豚を哀れに思った神はたくさんの雨を降らした。
豚は喜んだ。豚は嬉しかった。豚は走り回った。
走ったので、豚の体は泥まみれになった。
神には泥の地面と泥にまみれた豚を識別出来なかった。神は、豚が神の温情を忘れ逃げたと怒り、その土地に嵐をもたらした。
広大な土地は一瞬にして泥水と化し、豚は沈んだ。
豚は埋まった。
END
最初のコメントを投稿しよう!