虹の橋

　今日もうちの飼い猫は元気だ。
　しっかりごはんも食べるし、キャットタワーにものぼる。
　足を滑らせて落ちてしまったり、足取りがおぼつかないことも多くなったけれども、もうだいぶ歳だからそれはしかたがない。
　ごはんの後にいつも通りお気に入りのおもちゃで遊んでから、飼い猫がすこしよろめきながら、でもいつも通りの堂々とした顔で俺のひざの上に乗る。
　今日はここで寝るから動いちゃダメよ。そう言うかのように一声鳴いてから、飼い猫はすやすやと眠りはじめた。
　それから数分も経たないうちに呼吸が止まって、わずかな振動もなくなって、急にほんのすこしだけ軽くなった。
　俺のひざの上で寝たいって言ったのは、最後のわがままだったのかなぁ。