16人が本棚に入れています
本棚に追加
みつるくん
見ると、ゲーム内のあちこちでいちゃこらしているアバターたちが。
私、なんか一生懸命働いちゃって、ひとりぼっちになっちゃった。
ああ、ここでもぼっちなのか。寂しい。泣いちゃいたい。
ゲームのなかで、ひとりブランコする、まる。
と、まるの家に男の子のアバターがやってきた。
「素敵なブランコですね」
その男の子、みつるくんは言った。
「乗りますか? 二人乗りだから、乗れますよ」
と答えるまる。
みつるくんは三十二歳。年収三百五十万円の会社員。住まいは東京。趣味は読書、好きな食べ物はカレー、好きなペット、猫。
「ありがとう。よろしく。僕、みつる」
そういうとみつるくんのアバターは、ちょこんとまるの隣に座った。
「こちらこそありがとう。私、まる。よろしく」
そう言ったけど、本当は泣いちゃいたいくらい嬉しかった。
ひとりぼっちでもくもくと働くまるに、声を掛けてくれたみつるくん。
しばらくブランコして遊んだ。最初の言葉がみつからない。
最初のコメントを投稿しよう!