携帯ショップ

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「お客様」  イケメンの店員来た!  またもや二つ折り携帯になってしまう早瀬川まつり。 「どうされました? お身体の具合でも悪―――」 「元気です! 携帯のほうがお身体、具合悪くしちゃって、それで来ました」  いきなり胸を張る、早瀬川まつり。もうこうなったら、コーヒーの染みとかどうでもいいし。 「かしこまりました。こちらへどうぞ」  席に案内されて、スマホを見せる。「里中」さんっていうのね、この店員。 ネームプレートをさりげなくチェックする早瀬川まつり。顔に似合って甘い名前だ、と思う。 「水没、ですかね」  真剣にスマホをチェックしている里中くん。もぞもぞと落ち着かない早瀬川まつり。 真剣な男の横顔って色っぽい。 コーヒーに水没させたの、バレバレな格好で来ちゃった。バレてるかな。いや、見てないかな。 自意識過剰になって、はなしがなにも入ってこない。
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