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「私との約束を一度も破った事のない秀がそんな風にお願いしてきたら、どうしても外せない急用が出来たんだってすぐに分かるよ」
「絶対その日じゃなきゃいけないわけじゃないんだ」
一度した約束を反故しようとしてる申し訳なさから、秀王は提案を取り下げようとする。
「またそういう言い方をする!秀がそういう言い方をする時は『100%絶対に近い時』。私、知ってるんだからね」
テーブルに身を乗り出した泉夏が、軽く睨らんで数秒後。
目の前の彼は、ようやく表情を緩めた。
「泉夏は俺の事を俺以上に、なんでもよく知ってる」
「私達、付き合い始めて今年で二年目だよ。秀の事ならなんでも知ってるに決まってる」
泉夏が言い放てば、秀王の顔はこれ以上ないくらいに和らぐ。
「泉夏と大学で初めて出会ってから五年。泉夏と付き合い始めて二年目の春だ」
座席すぐ横の大きな窓から、秀王は外に視線をやった。
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