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「来週の日曜日の事なんだけれど」
土曜、お昼。
書店が併設された行きつけのカフェ。
案内された席に向かい合って座るや否や、切り出された。
「プラネタリウムを観に行く約束、再来週に変えて欲しいって言ったら泉夏は都合が悪いかな?」
いつも自分を優先し、飲食店に行けば真っ先にメニューを開いて見せてくれる彼が、今日は少し違った。
不安そうな双眸を向けられて、泉夏は固まってしまう。
「泉夏との約束が先なのに、それを破るような事を言って本当に申し訳ない。……だけどもしも可能なら、再来週に回してくれたらなって」
心苦しそうな表情で許しを乞われ、声を出すタイミングを失ってしまう。
無表情のまま黙っていれば、どうやら誤解されてしまったらしい。
「どうしてもってわけじゃないんだ」
「だめなんて私、ひとことも言ってない」
自分勝手に話を終わらせようとする彼に、泉夏は頬を膨らませた。
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