秘密

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秘密

一週間前に父が亡くなった。 父の死後、それまで一度も会ったこともない親族とやらが押し寄せたけれど、私はその総てを追い返した。 父の家族は既に私しか居ない。 彼らの狙いが父の財産であることは明白だった。 父が狙われるほどの財産を遺したのには理由がある。 私を引き取ったからだ。 私は父の実子ではない。 それどころか、両親が何者なのかすら全く知らない。 私は11歳の時に父、外山 悠馬(とやま ゆうま)の養女となり、(ゆき)という名を貰った。 それ以前の私はまるで愛玩動物のように一人の老人にいて、名前すら持ってはいなかった。 私を産んだ母はお腹に私が居る状態で傷だらけで行き倒れていたそうで、発見当時既に正気ではなかったらしい。 失踪の届けもなく身元不明のまま、酷い扱いを受けた為か弱った身体で私を生み、そのまま亡くなったそうだ。 その病院の院長であった老人は私が突然変異の稀有な容姿であったことから、私を飼おうと思い至った。 白髪に紫と黄色の虹彩異色(オッドアイ)という、本来あり得ない色素異常を持って生まれたからだ。 老人は人と違う者が好きだった。 身体に欠損があったり、奇形であったり、とにかく人と異なるもの。 彼の中で私は最高のコレクションだったのだろう。 b2b73ee9-1960-41fa-ac55-cd7853a0e443
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