父と過ごした歳月

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短期大学に2年間在籍し、老人に縁のあった会社にも数年間勤めた末、私は在宅での仕事を生業とすることにした。 人というものが、姿形の違いだけでこれ程までに差別をするということを思い知ったからだ。 私の容姿は忌避される類のものではなかったものの、好奇を誘うものであったのは確かだったようで、いやらしい目で見るものや無遠慮に物珍しげに見るものなど不愉快な視線に晒される事ばかりで、仕事にも差し障りがあったので辞めてしまった。 その頃から父は私に見合いを勧め始めたけれど、私はそれを断り続けた。 「雪、お前も年頃なのだから良い縁を探してはどうだ」 そう言われるたびに胸の奥が昏くなり、涙が溢れた。 「いやよ。縁なんか要らない。一番大切な縁はもう結ばれたの」 毎回そう言う私に父は困ったように眉を下げる。 「しかし私はお前より20も年上だから、きっと先に死んでしまう。そうしたら一人きりで不案内だろう」 「いや! 一人きりになるとしても、最期までお父さんと一緒が良いの」 ぼろぼろと泣く私の頭を撫でる父がどこか誇らしく見えたのは気の所為だけではなかったと……私は信じている。 私達はきっと本当は唯一無二の家族で有りたいと思っていながら、互いの平穏のためにこの茶番を繰り返した。 何度も、何度も……
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