メイドは飛来しない

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メイドは飛来しない

 夜。  寝るまで少し時間があったので、とある小説投稿サイトへ、読みものを探しに出かけた。  睡眠に差し障ってはまずいので、あまり長くないものがいい。  気軽なコメディあたりが良さそうだ。  タイトルを送っていると、気になる文字が目に入った。 『力持ちのメイドが飛来』  メイド。家事を代行する者。  それが力持ちとは、どういうことだろうか。  筋骨隆々なのか。  容姿は普通なのに、なぜか力持ちで、巨大な銃器や刀剣を持っているパターンもあり得る。  しかも、飛来だ。  家事を行うのに、空を飛ぶ意味はない。  メイド姿の魔法少女ならば、飛ぶこともあるだろう。  しかし、“力持ち”と併せて考えると、戦場のイメージが強くなる。  これはおそらく、戦場でピンチになった主人公の前に、巨大な武器を持ったメイドが飛んで来て、助けてくれる話に違いない。  そう思い、期待しながらページを開く。  だが、そこで展開されていた内容は、メイドでも飛来でもなかった。  カメイドとヒライという駅名を使った、ただのダジャレだった。 「騙された!」  俺のこのメイド分(糖分のようなもの)をどうしてくれる。  もうこの作者の作品は、読むのをやめよう。 『メイド』でサイト内検索をかけながら、固く誓うのだった。 <おしまい>
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