パーティー再集

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 さて、現状を確認しよう。  オレは頭を打ったがほぼ無傷で装備も揃ってる、ライトは壊れているが異能力エコーズがあるから問題無い。  アンはすり傷程度で無事だが装備無し、ライトも無し。  ボゥロは左足骨折、装備あり、ライト破損。 そしてディフィは無傷だがガレキに埋まって身動き取れずにいてライト破損と。 「おかしいな」 「だな」 オレの呟きにボゥロが反応し、それをアンが聞きとがめる。 「何がおかしいの」 「ここにいる全員のライトが壊れているってことさ、いくらなんでもありえない」 「偶然じゃないってこと」 「その可能性もあるし、偶然かもしれない」 「偶然じゃなければ故意となる。となると誰がとなる」 「この中でライトが無くても平気なのはサーチだけだな」 ボゥロの発言にアンが食ってかかる。 「サーチがそんなことするはずないでしょ、一緒にトラップにかかっているんだから」 「仕掛けたけど、ドジって一緒にトラップに引っかかったんでごまかしているだけだとか」 「ボゥロ、いくらなんでもひど過ぎるわ、ディフィの代わりに引っ叩くわよ」  アンもボゥロもオレに触れているので、必然的にふたりの間にいるから双方から煩い。 「やめないかふたりとも。とりあえず言っておくがオレじゃないぞ、こんなことしてもメリットが無い」 「だよな。ダンジョンでモメるのは宝を見つけたあとだ。サーチの慎重な性格ならありえない」 あっさりとボゥロは自分の意見を否定する。それがよけいにアンの神経を逆撫でる。 「アンタねぇ」 「よせよアン。腹は立つがボゥロのようにあらゆる可能性を考えてから理論的に否定するのは正しい。言い方はともかくな」 制止されて納得がいかない顔をしながらも、とりあえずは黙ってくれた。  あまりいい空気ではないな。話題を変えよう。 「ボゥロ、ディフィを助けたいんだが、このガレキは動かせないか」 「無茶言うなよ。3メートルくらいある小山だぞ、動かせるもんか」 「だからトンネルを作ってディフィを引っ張り出すとかさ」 「ガレキでできた小山だ、それぞれに力が加わっていて、下手に動かすと崩れる」 「いち部分だけでも安全に動かせるところはないか」 「無理だ。何処がどう力が加わっているか分からない」 全否定するボゥロに、アンがふたたび食ってかかる。 「なによ、出来ない出来ないって。それでも迷宮マスターとか呼ばれた盗掘屋なの。ギルマスが腕は確かだっていうから期待したのに、口うるさいわ、残念な見た目だわトラップに引っかかるわで大したことないじゃない。ボゥロなんか雇うんじゃなかったわ」 「んだとぉ、小娘が。雇い主だと思って我慢してたがダンジョンをナメてんじゃねえぞ。だいたいここに来る途中で何度も注意しただろう、装備は自分で持てって。その結果が暗闇で一人ぼっちになって泣く羽目になったんだろう、聴こえてたぞ、ディフィ、ディフィって泣いてるの」 え、そうだったの? アンを見ると真っ赤な顔で首を振っている。 「ち、違うのよサーチ、誤解よ、誤解なのよ、助けてくれたディフィを心配してただけだから、な、泣いてなんかいないわよ」 「ウソつけ、涙声だったのは聴こえていたんだぞ」 「ああもう、うるさい!!」  両端の口をふさいで黙らせる、なんでオレが仲裁しなくちゃいけないんだ。これだからパーティー組むのはめんどくさいんだよ。 「とにかく、ジョンの助けを待つあいだ何もしない訳にはいかないんだ。ボゥロ、ガレキが揺かせるかどうかもう一度異能力を使うからよく見てくれ」 「だからムリだって」 「ちょ、ちょっとサーチ、アレをやるの」 「もうひとつの能力で見てから言ってくれよ」 「まって、まって」  アンがオレを盾にして隠れるように身を縮こまらせると、オレは異能力エコーズと言ってカンを打つ。 「な、なんだこりゃあ。ガレキが氷砂糖みたいに透けちまったぞ」 「これがオレのもうひとつの異能力だ。トラップを避けられる理由はコレなのさ」 「ウソだろ。異能力者(ジーン・ホルダー)ってひとりに異能力(ジーン・ギフト)ひとつのはずなのに……」 「詮索はあとだ。どのガレキがどう引っかかっているのか見てくれ」 「あ、ああ」  ボゥロが驚きながらも、何処がどう撤去にジャマか透視()ていると、ウソだろと声をもらす。 「どうしたボゥロ」 「ディフィ、お前さんの言ったとおりラッキーウーマンだぜ」 ボゥロの呼びかけに、ずっと黙っていたディフィがこたえる。 「はっ、ラッキーガールだ。どういうことよ」 「ディフィの前にあるガレキだけ撤退しても問題ない。ちょいと力仕事だが、大人ふたり分くらいのガレキをどかして、ザイルを投げるなりサーチが入るなりをすれば可能だ」 ボゥロの説明を聞いてアンが喜びの声をあげる。 「そうなの!? じゃあさっそく」 「ああ──って、アン、なんだその格好は」 「え、あ、きゃあ!! 見ないでよ、このスケベ」  せっかく自分の裸を見られないように隠れていたのに、油断したアンが身を乗り出したので、結局見られてしまったらしい。  ふたたびオレを盾にして隠れるので、オレは透視()るチャンスを失ってしまった。 「んん、ボゥロ。どれを動かせばいい」
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