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そこから俺、大代藤也(おおしろ とうや)とあの性悪イケメン喜一の奇妙な生活は始まった。
経済的な面では問題ナシ。
たまにフラッと来てメシ食って、寝て起きたらもう居ないって感じ。
服とかも新しいし、どっかでシャワーも浴びてるっぽいし、ほとんど前の生活と変わらない。
「野良猫みたいだな」
「誰が野良猫だって…?」
ニィ、と目を細め笑う。
「あ、」
ついうっかりアイツの目の前でそう溢した。
「いや~……ね?」
「ふーん。ま、いいけど。おかわり」
「自分でよそえよ……」
「やだね」
約2ヶ月。アイツはこんな調子でのらりくらり。俺の怒りもどこか遠くへ行ってしまった。
「美味し」
「二回目だろそれ」
「二回目でもうまいもんはうまいでしょ」
「………」
フツーに嬉しいけども。
「……やっぱ言われるんなら可愛い女の子が良いよなぁ~~」
ガッチャン!
「うわっ、何?」
「……別に?スプーン皿に落とした」
「ぉ、おう……」
びびった。
コイツ怒ると怖いから、あんまり癪に触ることはしないでおこう。
今のはニコニコしてたし、スプーン落としただけらしいから、セーフ?
2ヶ月過ごしても相変わらず地雷だけは分からん。さっぱり。お手上げ。
んで、その日もフツーに皿片付けて、歯ぁ磨いて、スマホ触って。
アイツがコーヒーくれるって言うから珍しいな、とか思いながら空いた缶コーヒー飲んで。
会社の残りの仕事に手を付け始めて……。
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