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ブーゲンビリア
朝はいつもより早めに起きた。
シャワーを浴びて、普段のデートより気合いを入れる。白いドレッサーの椅子に腰を下ろして、鏡を見つめる。
鏡に映るのは、昔の自分とは全然違う自分。髪の色も落ち着いて、全体的に落ち着いた。
「これ、使おっかな」
手前の引き出しから取り出したのは、ブーゲンビリアのリップ。鮮やかな紫みの赤い色で、ブーゲンビリアの花の色。
彼が誕生日にくれた贈り物で、昔から知ってるからつい、感慨深い気持ちになってしまった。
意地悪で、好きな人なんて1人もいなかったのに。今じゃ、こんな良い彼氏になるなんて、思ってもなかったから。
リップを付け、ネイルもして、あとはイヤリングを付けるだけ。
そのとき、イヤリングを取ろうとして、つい手が滑ってしまった。イヤリングは何かと一緒に床へ落ちた。
視線を落とすと、そこには昔よく付けていたピアスが落ちていた。
「最後のデートって、、どういうこと?」
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