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最後
連れて行ってくれたのは、この街の夜景が全部見渡されるレストランだった。
「ご予約の宇都宮様ですか?」
「はい」
「あちらの窓辺のお席にご案内致します」
「窓辺って……」
「好き、って言ってたから」
憶えててくれたんだ――
「こちらのお席になりますが、よろしいでしょうか」
「どう?」
「はい。ありがとうございます」
席に腰を下ろし、彼と向き合って座るのはどれくらいぶりだろうか?
下手したら、半年ぶりくらいになるかもしれない。
「亜由、何食べる?」
「えっと、迷うな~。どれにしよう」
メニューを見て、迷うを私を見て彼は微笑んだ。
「無邪気だね」
「友都だって、そうだよ。あ、野菜が入ったキャロットジュースだって、飲む?」
「マジで、飲まないって。苦手って、知ってるじゃん……」
「だから、つい」
しょうもない話で盛り上がるのも、今日が最後。
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