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人通りの多い街中、一人の男が堂々と歩道の真ん中を歩いていた。その男の向かいからくる通行人は男を避け、目も合わせないようにしていた。それもそのはず 「ファオ......どこにいんだあのヤロー。一発やりあいてぇのによぉクソが」 人の身長ほどもある大きな刀を引きずりながら歩いていたのだ。しかも気が立っているときた。絡まれたら何をされるか分かったものではないだろう。 すると、男の前に一人の中年女性が立ちはだかった。いかにも迷惑オバハンという感じの人物だ。 「ちょっとあんた! そんなオモチャ持ってないで、真面目に働いたらどうなの? それ邪魔なのよ! 」 男は舌打ちをした後深いため息をつき、黙ってオバハンの横から歩いていこうとした。しかし、オバハンの怒りは収まらなかった。 「何無視してんのよ!! 警察呼ぶわよ!! 」 「ったく早くどけよカス」 その言葉は、オバハンの怒りを更に引き立てていった。 「何よその言いぐさは! 昼間から働きもせずにふらついてるクセに、私にたてつくの? 」 「おめぇも働いてねぇじゃねぇかスカタンヤロー」 特大のブーメランが刺さったオバハン。正論を言われてなお、男に反撃をしようとしたが、その前に通行人が呼んだであろう警官が駆けつけた。 「あの、どうなさったんですか? 」 どちらが悪か分からないので、警官は腰を低くして二人に聞いた。すると、おしゃべりなオバハンの方から先に話し始めた。 「この人無職で、昼間からオモチャ持ちながらフラフラしてるんです。挙げ句の果てには私のようなヤングウーマンをオバハンだなんて呼んで! 」 「は、はあ......そちらのあなたは? 」 警官に話を振られると男は、胸ポケットから何かを取り出した。そしてそれを見せびらかすように、警官にピラピラとしてやった。すると警官はその何かを見て驚いたような様子を見せると、急に男に向かって敬礼をした。 「オグラヤマ様! お、お疲れ様です!! 」 「ったくクソヤロー、今度から気を付けろよ」 オグラヤマと呼ばれた男がそのまま目的の捜索を続けようとすると、オバハンがそれを制止した。 「ちょ、ちょっとどこ行くのよ! お巡りさんもこの人どうにかしてよ! 」 男の前で腕を広げ、男の行く道を邪魔するオバハン。それに警官が近づくと、オバハンの両手を手錠で繋げた。 「魔薬草取締執行妨害罪で現行犯逮捕する! 」 「は、はああぁ!!? 」 そんな様子を背にオグラヤマは、ファオの捜索を続けた。その顔は、これから起こるであろう血を流す戦いに期待を膨らませている顔であった。 「待ってろよクソガキ。すぐにでもボコボコにしてやっからなコノヤロー」 -一方その頃- ホサカ宅では、ファオの向かいにテーブルを挟んでムスッとしたホサカがいる状況で、朝食を食べていた。 「なぁ、なんでおこってんだよ」 「......ふん! 」 するとホサカは、今まで向かい合って食べていたものを、茶碗ごと持ってそっぽを向いてしまった。 「なぁなぁー」 ファオもそれに応じてホサカの目の前まで茶碗を持って来た。しかし、そうする度にホサカはそっぽを向いてしまう。 「(´・ω・`)ショボーン」 仕方なく自分の場所に戻って黙って朝食を食べ始めた。ファオは、目で見て分かるぐらい落ち込んでいた。一口の量も、先ほどより明らかに減っていた。 「......」 そんな様子を見ながら食べる朝食は、ホサカにとってあまり美味しいものではなかった。そのうちホサカは、黙っていた自分から喋り始めた。 「......これから、私の言うことちゃんと聞くなら許してあげるけど」 それを聞いたファオは表情を明るくし、前のめりで答えた。 「きく! きく! ぜったいにきく! 」 「ち、近いわよ。離れて......」 「わかった! 」 するとファオはすぐさまホサカから顔を離し、黙って朝食を食べ始めた。先ほどとは違い、目の前にある白米を、口一杯にするほどの量を箸で掴み、口に運んでいた。 「たく、調子いいわね......」 そうしてホサカが味噌汁をすすると、マンションの金属製のドアを叩く音がした。 「誰かしら? 」 箸とお椀を置いて立ち上がり、玄関から少し離れたところでホサカは止まった。そこからドアの向こう側にいる人物に話すのだ。 「どちら様ですかー? 」 そう問いかけるが、向こう側の人物は答えず、再びドアを叩き始めた。 「だれだー? 」 「分かんないのよ」 するとファオはホサカよりも前に行き、ドアの覗き穴を片目を瞑って見た。しばらくするとファオは突然、驚いたようにドアから上体を離した。 「うおおぉ!! 」 次の瞬間、ドアは左上から右下にかけて斜めに切られ、切れたドアから謎の男が入ってきた。そのドアを切った刀を引きずり入ってくると、ファオの方を見、言った。 「会いたかったぜオラ」 男はファオに異様なほど近づいてきた。そして、不敵に口角を上げながら言った。 「兄弟ぃ」
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