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目の前に広がる景色に、琉花は思わず親友の美遥を睨んだ。
いつものメンバーで夕食を取ろうと美遥に誘われた琉花は、買い物の後に遅れて美遥たちと合流した。しかし行ったレストランの個室では美遥たちの目の前に見知らぬ男が座っていたのだった。
勘のいい琉花はすぐにそれが何なのかを察した。合コンである。琉花が大嫌いな合コンである。
合コンは嫌いだ。ドラマや映画を見ると、合コンとはキラキラした男女が恋人を探す為に猫を被り、お酒を飲みながらワイワイガヤガヤするイベント。飲み会に恋人募集をアドオンした感じのものだと琉花は認識している。だから嫌いだった。
そもそも琉花は飲み会も嫌いだった。どうして好きでもない相手と一緒にお酒を飲まないといけないのか。嫌々上司に付き合わされて、飲まされて。早く帰ったら怒られるし、不機嫌そうにしていても怒られるし、参加しないと言っても怒られる。これも今ではハラスメントの一つとなっている為、最近では上司から飲み会を強制されることは少なくなったが決してゼロになった訳ではない。
美遥は琉花の鋭い視線に気が付くと、苦笑いを浮かべた。手で「ごめん」のポーズを作っている。それだけで許されると思ってんのか。
「この子が琉花! 遅れてくるって言ってた子」
美遥が琉花の隣に立ち、男たちに琉花のことを紹介した。男たちは「宜しくね〜」とへらへら笑いながら、琉花を見る。琉花は愛想笑いを浮かべると、席に戻ろうとした美遥の袖を掴んで、廊下に連れ出した。
「騙したね?」
「ごめん、琉花! 今日だけはまじで参加してほしいの! 急に一人来れなくなっちゃってさぁ。お願い!」
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