騙されるのも、また出会い

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 美遥は琉花に深々とお辞儀をする。琉花はハァっと大きな溜息を吐くと、頬をポリポリと掻いた。 「つまり、数合わせ要員という理解でOK?」 「そう、その通り。合コンに参加してほしいって言ったら、琉花絶対に来ないじゃん?」 「うん、嫌いだからね」 「今回だけだから!! 今回は相手が全員エリートなの! 絶対に逃せないの!! だから本当にお願い!」  美遥の覇気に琉花は後ずさりした。美遥の目が怖い。目力が半端なくて怖い。これだから合コンは嫌いなのだ。いつもの優しい目をした美遥を返せ、と琉花は心の中で神様に愚痴を言った。  琉花はもう一度溜息を吐いた。美遥の目が不安げになる。 「相手がエリートなら、尚更人数少ない方がいいんじゃないの? ライバルは少ない方が良いんだし。わざわざ数合わせなくても……」 「それが……向こうからの要望で。一人来れなくなったこと伝えたら、参加できる子探してほしいって言われちゃって。断ったら合コンすら開催できないかもしれないじゃん? だから仕方なく……」  琉花は男たちのことを面倒な相手だな、と心の中で思った。そんなに出会いが欲しいのか、とも。確かに今時はマッチングアプリなんかを入れて出会うことが主流になってきているが、琉花はそこまでして必死に出会いを求めることに共感できなかった。  もともと恋愛には他と比べて興味が薄いし、結婚も別にしなくていいかなと思っていたりする人間だった。一応社会人3年目だし、恋人は過去に一人や二人いたことはある。しかしそこでの経験は特に可もなく不可もなくという感じだったので、大人になった今、恋人はいてもいなくてもいいかなと思うようになったのだ。 「一生のお願い!!」
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