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琉花は思った。「一生のお願い」とは本当に一生のお願いではないと。何万人もの人が「一生のお願い」と言って、何回も同じ相手にお願い事をしているのを琉花は知っている。
「……分かった。一生のお願いね」
絶対に一生のお願いじゃないなとは思いながらも、親友の頼み事というのもありOKしてしまった。美遥はパッと表情に花を咲かせると、「ありがとう!」と目をウルウルさせながら言った。こんな漫画みたいな展開がこの世に本当にあるのだな、と琉花は思った。
琉花と美遥が再び個室に入ると、琉花は空いてる席に座った。目の前には仏頂面の男が一人、ビールを飲んでいた。琉花はその男と目が合うと、会釈する。向こうも会釈を返した。
琉花の為の自己紹介が終わると、琉花はビールを注文した。注文した後に他がどんな飲み物を頼んでいるか見ると、女子は皆カクテルを頼んでいた。お前ら、いつもビール片手にぷはぁっとかしてるだろ。琉花の合コンに対する認識は間違っていなかった。やはり合コンでは誰しも猫を被っている。
ジョッキに入ったビールが運ばれてきた。オシャレな店には到底合わないような居酒屋めいた飲み物。選択間違えたかな? いや、別に本気で合コンに参加した訳じゃないしいっか。そんなことを考えながら、ビールを一口飲んだ。
「琉花ちゃんだっけ? 珍しいね、ビール選ぶなんて」
目の前に座っていた男が突然話しかけてくる。先程名前を聞いたが、興味なんてサラサラなかったので名前をもう覚えていなかった。
「ビール好きなので」
「そっか。俺も好き」
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