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ぐびっとビールを飲んだ。信は琉花の言葉を聞いて、ハハッと乾いた笑い声を上げる。隣で盛り上がっていた男女が琉花たちの方を一瞬見たが、放っておくかのように視線を戻した。
「確かに、俺意外に積極的かもね。相手が琉花ちゃんだったからかも」
「……口説いてます?」
「口説いてる」
信はスマートフォンを取り出すと、「連絡先交換しよ」と言った。チャットアプリのQRコードを琉花に見せる。琉花は信を一瞥してから、スマートフォンでそのQRコードを読み込んだ。
「案外素直に交換に応じるんだね」
「別に。連絡を取るか取らないかは私の自由なので。嫌になったらブロックすればいいし」
「サバサバしてるねぇ」
「サバサバというよりかは、冷たいっていう表現の方が正しいです」
枝豆をもう一つ貰うと、ビールを飲んでぷはぁっと言った。やはりビールに枝豆の組み合わせは最高。これが家だったら尚更最高だった。
「で、どこからどこまでが嘘なんですか?」
「ひどいなぁ。全部本当だよ。合コンは嫌いだし、騙されて来たし。相手が琉花ちゃんじゃなかったら口説こうとも思わなかったよ」
信は琉花に顔を近づけると、声を潜めた。「猫被って合コンでカクテル飲む女嫌いだから」と美遥たちを見ながら言う。
「勿論、カクテルが一番好きだからカクテル飲む子は好きだけどね。でもあの子たちは違うでしょ?」
「……それは私の口からは何とも」
「やっぱ猫被ってんだ」
信は愉快そうに笑った。「俺分かるんだよね、そういうの」と自信満々に言う。
「だから全部本当。猫を被ってない琉花ちゃんは、俺の中では好感度が高い。あいつらはカクテル飲んでる女子の方が好きなんだろうけど」
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