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「昨日洗濯物を干してたらインターホンが鳴ってドアを開けたらウミガメが『おめでとうございます。一泊二日竜宮城ペア宿泊券が当選しました』って鐘を鳴らす夢見たんだけど予知夢だったらどうしよう」 「よく予知夢の可能性を捨てずに学校まで来れたね」  朝から要らぬ心配で眉間に皺を寄せる鈴鳴(すずな)くんは私の隣の席に座った。  登校するや否や真剣な顔で「ちょっと話があるんだけど」と言うのでまさか告白でもされるのではと思ったが、それがあり得ないのは私自身が一番よく知っている。 「だってまだ僕にもある日突然超能力が目覚める可能性はあるだろ。それは今日かもしれない」 「まああり得ないとは言い切れないよね」 「おお、さすが七星(ななほし)さんわかってるね」 「何がわかってるのかわかんないけども」  まあでも、どちらかといえば私はわかってるほうなのだろう。  私は自分の胸の辺りにそっと手を置く。 「そうだ。そんなことより話があるんだよ」 「ああ、さっきのが本題じゃなかったのね」 「あれが本題だったら僕はとんだ夢想家じゃないか」 「自覚あるんだ」  黒板の上に掛けられている時計を見る。あと五分で始業だ。  今から本題に入って間に合うのか。もし告白だったら絶対無理だけど。  いやいや、と私は頭を振った。頭の中につい『告白』の二文字が浮かぶのは意識してしまっているからだろう。  だがそんなことは絶対に無い。私は断言できる。  何故なら、彼が私に告白するのは四日後だからだ。 「僕、転校するんだよね」  鈴鳴くんの口から本題が飛び出す。思った通り告白ではなかったようだ。 「たぶん今日の朝礼で先生に言われるから、七星(ななほし)さんには先に言っておこうと思って」 「そうなんだ。もう決定なの?」 「うん。僕も今朝聞いたばっかりだけど、四日後の終業式が最後かな」 「なるほど」 「なるほど?」  彼が首を傾げると、それがスイッチだったかのように始業のチャイムが鳴った。  五分で間に合う話には色々あるなと感心しつつ、私の頭の中では無関係な星と星とが星座になるようにすべての点が繋がっていく。  やはり私は四日後に、彼に告白されるらしい。
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