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P11【水道掃除】
蛇口をひねって出てきた水は
外の水道管を伝ってくるから
キンキンに冷たい。
ーーーーさむい!!
だけどその水をシンクに少し貯めて
軽く全体を流してからクレンザーを撒いた。
スポンジでごしごしし始めて
白い泡が立ち始めた時
どこかの教室から
男子の大きな掛け声が聞こえた。
「ハッピー!!!ホワイトデー!!!」
「ウォーーーーーー!!」
一瞬、掃除をしてたみんながびっくりして
自分たちの動きを止めた。
そういえば 3組もバレンタインに
女子全員から男子全員へチョコ配ってた。
だからそのお返しイベントかな・・。
またそれぞれが自分の動きにもどった。
私も掃除を続ける。
だけど笑い声の聞こえる3組の様子に
ふと
じぶんが昼休みにもらった
ペンギンの形をしたクッキーの姿が蘇る。
『友達クッキー』
ーーぎゅっと胸が痛い。
雑念振り払う勢いで
水をジャアジャア出しながら
隅の方をゴシゴシ磨いていく。
相変わらず
廊下掃除でふざけてる男子たちと
それに怒ってる風帆の声も聞こえなくなるくらい
スポンジに力を込めた。
手がジンジンと痛い。
冷たさで手もかじかんできた。
時々、水場を使う人を受け入れながら
銀色のシンクがピカピカになるくらい
磨いてたら
「ちょっとバケツの水入れさせて」
トイレ掃除の佐々木くんが言った。
「うん、どうぞ」
と応えた。
廊下の男子が、わあわあ遊んでるのはいつものことだ
多分、さっきのイベントクラスも掃除してない・・
そっちの方から女子と男子の笑い声がずっと聞こえる。
なんだかなぁ・・・。
ふーっとため息出たとき、
佐々木くんと目が合った。
____あ。。
瞬間にして
咲也くんからもらったクッキーを思い出す。
やばい。泣くかも!!
慌てて目を逸らしたら
「さっき、咲也が今井のこと心配してたよ。」
と佐々木くんが言った。
え?・・・・
咲也くん??
もういちど佐々木を見た時だ。
「あぶなーーーいっ!!!!!!」
「ひよたん!!」
急に私の名前を叫ぶ声が聞こえた!
え?!!!
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