P2【バスとの遭遇】

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P2【バスとの遭遇】

住宅街から ひとつ向こうの道は、車通りが多いけど うちの廻りは、閑静な場所。 登校する時間だけど 歩いてる人も少なめ。 いつも目につく大きな広葉樹には 今年も、黄色の実がたくさん実ってるけど それがみかんなのか              そうなのかは、正直未だにわからない。 少しずつ、少しずつ 駅方面へ歩いてゆく会社員さんや 学生の姿が増えるなか 駅に繋がる大通りに合流する時、 目の前を 一台のバスが通り過ぎたので すこしドキッとする。 _____あれ?! バス、来るの早い?? 咄嗟に停留所の方を見てあせった。 いつもの そこにいるはずのバス待ちの人が 誰もいない?! えーーー!! この時間の顔ぶれは大体同じ。 すれ違う車も歩く人も あのバスも。 バスの時間は、基本的にはまちがってない。 と、いうことは…… 私の遅刻は、 1分どころじゃない?! 気持ちが焦る。 いつもの7時20分発の電車に乗りたい。 慌てて自転車を漕ぐスピードを加速した。 加速した上に 向かい風だから どんどん髪が乱れてく。 出来ればスピードを緩めたい。 でもこのままだと 次の信号に捕まってしまう! 今だけガマン! あの信号さえ、乗り越えれば いつもの電車に乗れる時間だから! って 思ってがんばったはずなのに・・。 無情にも その信号の色が 黄から赤へ切り替わっていく。 あぁぁぁぁ!!! 間に合わない!! 両手でぎゅっとブレーキをかけたら キキィーーと 甲高い音がして みんながこちらに振り向いた。 前にいるチャリの人も チラっとこちらを見てくるものだから バツが悪くて 目が合わないように 地面の方へ目をそらしたら あちらこちらに うっすら水たまりが 出来ているのに気がついた。 「昨日だいぶ降ったねー!」 「雷鳴ってたよー」 って呑気に話す中学生女子の会話。 あー・・そうなのね って、その平和な会話がうらやましい。 何気に触れた前髪がぱっくりと 分かれてる気配にギョッとする。 せっかくがんばってブローしたのに!! もうテンション下がるわ・・ この信号の待ち時間は長いから、 なかなか青になってくれない歩行者マーク。 焦れったくって仕方がない。 いつもの電車には遅れたくないなぁ。 私のいとしい7時20分発っ!! 焦る気持ちをぐぐっと押し込めながら、 さっきから気になっていた パックリ前髪を少し整えていた時だ。
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