P3【交差点】

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P3【交差点】

大きなトラックが ものすごいスピードで 黄色の交差点の中に、突っ込んだ! 瞬間、ブワッと押されるイヤな風! なんか嫌な予感! 慌てて自転車ごと 体を傾けて 護りに入ったその瞬間、 トラックが 道にたまってた雨水を踏んだから、 バシャッ!バシャッ!っと水が跳ねる! わーー!やっぱり!? 「うっわ!!」 「やださいあくーー!!」 中学生から声があがる。 トラックの踏んだ水は 盛大に跳ね返って そこにいた歩行者と私の方へ しぶきとなって降り落ちてきた。 「濡れたぁーー!!」 「だるいぃーー!!」 ザワつく人たちのなか 私はというと…… 咄嗟に体勢を変えた瞬間(とき)、 路肩横の水たまりに 足を突っ込んでしまっていたわけで…… じゃぷっ、と 水溜まりから足を引き抜く。 左の靴の中に、 チャポチャポと水を感じた。 クリーム色のスニーカーの片方は泥だらけ。 幸か不幸か ペダルに乗せてた右足は かろうじて 難を逃れた。 被害をバラまいたトラックの姿は すでにない。 残された人々は 、 もちろん怒り心頭だから 信号待ちのこの場所に モヤモヤが あふれてく。 ・・ええぇ・・・・・ なんでこうなるのぉ・・・・ 腑に落ちないけど いつもと同じ時間に 家を出なかった自分のミス。 自宅のカギを取りに戻ったこと。 それと 髪の毛のセットに時間が かかったこと。 なかなか、まとまらなくて ママから  「早くごはん食べちゃいなよ!」って せかされたけど 今日は どうしても 真っすぐなサラサラをキープしたくて 粘ったのがダメだったのかな? 「なんかついてないかも…」 思わずため息が出そうになった時、 ピッポーピッポー ってゆるく、歩行者進行音が鳴りだした。
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