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『あ、あれは先ほどの教敵の機体!?』
間違いない。
ライラプスだった。
しかし、その細部は先ほどまでの陸戦機のそれではなく、背部の大型フライトユニットや、空気抵抗対策に拵えられた胸部装甲板、両手足についている姿勢制御用バランサーなど、明らかに異なっている。
そう。
まるで、生粋の空戦兵器かのように。
『へへッ。直撃、大当たり。とんでもねぇスピードで飛べるんだな、この、えーと………』
『ドレスアップオプション、フライヤークロス。DOGより、つい先ほど生成された、ライラプス専用の換装ユニットです。』
DOG。
即ち、Dressup Option Generatorの略称である。
その機能は、読んで字の如く、ライラプスの換装パーツを、アイのデータからその場で生成できること。
つまり、あらゆる戦況、戦局に合わせて、最適な武装にて臨むことを可能にする、戦闘支援用ユニットである。
『ば、馬鹿な………戦闘中にパーツを作り出し、その場で換装しただと………信じられん………!!』
司祭が驚愕したのも無理はない。
乱暴な言い方をするなら、一般的なPTの3分の2程度の小型ユニットが、精密な兵器工場に匹敵するスペックを有しているということ。
パーツに用いる資材は。
そもそも、生成に用いる莫大なエネルギーは。
余りにも常識から外れた、型破り極まりない戦術に、驚愕を通り越し戦慄すら覚えてしまう。
『敵は、どうやら浮き足立っているようですね。』
『………嬉しそうだな、お前。』
『僕はAIですよ。そのような感情は持ち合わせてません。』
『あー、そうかい。とにかく、速攻で行こうぜ。せっかく、スピード自慢の機体になったんだしな!!』
ライラプス、フライヤークロスが、その名の通り空を舞う。
換装パーツである大型背部バーニアが、爆発と見紛うような炎を吹き上げると同時に、エルシュナイデ部隊の有視界よりライラプスの姿が消えた。
『は、速い!!』
『ば、馬鹿!!目ではなくレーダーで追えば!!』
『だ、駄目だ!!我々の反応では、とても捉えることは………』
尋常ならざる運動性能。
教団の戦闘要員として、それなりに訓練を積んできた信徒らの反応が、まるで間に合っていない。
右往左往するしかない致命的な隙を、イツキは見逃さなかった。
『棒立ちかよ。だったら、遠慮なく!!』
コーティングソードの一閃が煌めき、1機のエルシュナイデが胴部を輪切りにされる形で撃墜された。
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