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『まだまだ行くぜ!!』
ライラプスFCの腰部から、硬質ワイヤーで編まれたロープの先端に、小型の錨状ユニットが取り付けられた、マニューバーアンカーが射出された。
本来なら機動制御に用いられる、機体補助用兵装が、狙い通りにもう1機のエルシュナイデへ着弾した。
『グッ………な、なんだ、このワイヤーは!?外れん!!』
『捕まえた………!!アイ、エネルギー全開だ!!』
『了解。両腕のギアが焼けつくほど、ありったけのパワーを注入します。』
ライラプスFCは、両手でワイヤーを掴むと、全力を込めてエルシュナイデを振り回しにかかる。
既に動揺の極みに陥っていた信徒のエルシュナイデは、録な抵抗も間に合わず、力任せに振り回されていった。
『な、なんだとォッ!?』
そしてそのまま、少し離れた位置にいたエルシュナイデへ、遠心力をたっぷり蓄えたエルシュナイデが激突。
さながら、巨大なハンマーに見立てられ、「武器」として扱われた側はもちろん、食らった側もタダではすまない。
2機のエルシュナイデは、断末魔を上げる間もなく粉々に砕けて撃墜となった。
『よしよし、これで残るは大将だけか。』
『最後はやはり、一騎討ち、サシ、タイマンですね。』
『お、おのれ………おのれ、おのれェッ!!』
あっという間だった。
この僅かな攻防で、たちまち残るは己のみとなった司祭は、震えた声で怒りを露にする。
ライラプスという変幻自在、千変万化の機体の強力さ、トリッキーさは言わずもがなだが、問題はこのイツキというパイロットと、搭載されているアイとかいう戦闘用AIだ。
怜悧冷徹に戦局を見極め、最適な戦略を見出だす聡明さに、それを実現できるだけの戦術能力。
単純にパイロットの能力だけを見るなら、荒削りで強引な、雑さの目立つものだろう。
しかし、あのDOGというユニットが生成する換装パーツにより、ガラリと変わった機体特性へ瞬時に適応した順応性。
そして、その適応能力を活かしきる、反射、反応もズバ抜けている。
まさに、「原石」とでも言うべきだろうか。
にも関わらず、この段階で己を圧倒する戦闘能力。
もしも。
もしも、このパイロットがそのポテンシャルに追いつき、持てる力をフルに使えるようになったなら。
『貴様はここで駆逐する………!!いや………駆逐せねばなるまい!!』
手に負えぬ存在になる前に、確実に潰すべき。
それは、教団に対する信義か、それとも胸の内に生じた本能的な恐怖を払拭するためか。
とにもかくにも、司祭の決意はこれで固まったと言える。
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