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ライラプス。
漆黒のカラーリングに、ゴーストタイプのフレームを雛型にしたのか、全体的に飾り気のなく、鋭さよりも重厚さを重視した装甲板。
背部バーニアを始め、各種兵装も一般的なもので、あらゆる戦況を想定し、対応できるよう設計されているような印象を受ける機体だ。
『当然でしょう。僕とあなたで、数年の月日をかけて造り上げた、この世界唯一のTEアブソーバーが、そのライラプスなんですから。』
まるで人間らしく喋ってはいるが、どこか無機質で、合成音声のような人工的な印象。
あの機体に搭載されている、人工知能か何かだと思われる。
『へへッ。小生意気なAIとの共同作業は癪だったが、こうして仕上がったとなると、感無量ってやつだな。』
『半分肯定、半分否定です。肯定については、感無量という点。否定については、小生意気という点です。はっきり言って、あなたにだけは言われたくないですね、イツキ。』
『うっさいな、アイ。相変わらず、口だけは達者なポンコツAIだぜ。』
悪態じみたやり取りを、どこか穏やかな様子で交わす1人と1機。
そちらから粉をかけてきたにも関わらず、司祭らを気にかけている様子は一切ない。
『き、貴様ら、いい加減にしろ!!一体、なんの理由があってこんなことをする!!我々を、教団の者と知ってのことか!?』
司祭の怒声に、ようやくイツキと呼ばれた人間が、意識を向けてきた。
『まぁ、そんなにカリカリするなって。お前ら教団のことは、よーく知ってるよ。』
『腹も膨らまぬ、眠くなるような説法で、お布施はたっぷり、坊主丸儲け。この世界で、最も有名なインチキカルト団体と認識しています。』
禁句のオンパレードだった。
一瞬にして、司祭だけでなく、場にいる全ての信徒の逆鱗に触れた、アイと呼ばれたAI。
『こ、この教敵共が………!!』
『おーおー、怒ってる怒ってる。信仰熱心でいいことだ。ご苦労さん。一生やってな。』
『あなた方、教団に恨みはありません。というか、どうでもいいんです。生きようが、死ぬまいが、好きにしてください。』
『オレらの目的は、ただ1つ。より高く売れるお宝さ。』
『あなた方が血眼になってこだわるほどの代物が、そこの軍事基地にあると思われます。それを力ずくで頂戴したいと思いまして。』
『な、なんだと!?』
『なんだとじゃねぇよ、馬ー鹿。こちとら盗賊。盗み、奪いがお仕事なんだ。というわけで、大人しく尻尾巻いて逃げるのをオススメするぜ。』
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