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「オーディンは怖がりなくせに強がりすぎよ」  言葉とは裏腹にお礼のマカロンをもらったステラは上機嫌だった。結局真相は、ステラの推理通りで解決した。オーディンにとって、その確認には勇気がいっただろうけど。そして噂は、ステラが魔女を退治した『魔女の手事件』と入れ替わっていた。 「噂はそのままでいいのかい?」 「英雄伝だしねー。わざわざ桜の想い出に傷をつけることもないじゃない?」 「ステラは探偵に向いてるかもね」 「ええ!? どこがよ」 「観察力もあるし勘もいい。いっそ助手にでもなってみたら」 「冗談でしょ。でも小遣い稼ぎには良さそう。みんなの相談を聞いてまわろうかな」 「君らしいね」  人を思いやる気持ちがあるとは言わなかった。 「もしかして桜を好きになれた?」  多少の期待をもって聞いてみた。 「どうかな。でもオーディンのお母さまのお墓にいったら、嫌なイメージは消えるかも」 「そっか。そしたらホームパーティーも楽しくなるね。オーディンも喜ぶ」 「それは全然別の話でしょ」 「でもオーディンのイメージも変わったろ?」 「どこがよ。まともに目も見ないで袋を突きだしてきてさ。これがお礼? お父様に渡されただけでしょ」  苦笑いしかできなかった僕は、ステラを追い越して両手を頭の後ろで組んだ。 「あー。そう言えば、新しいメイドさんは元パティシエだって言ってたな」 「行かないとは行ってないじゃない!」  後ろからステラが駆けてくる音が聞こえた。 〈忍び寄る魔女 おわり〉
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