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ⅵ
「さ。じゃあ魔女の正体解明の時間よ」
「「え!?」」
落ち着いて立ち上がったステラの言葉に、僕とオーディンは驚いて飛び上がった。
「わかったの!」
「たぶんね」
「誰なんだ!」
「あなたのお父さんよ。魔女を召喚していたのは。だからお父さんが部屋にいたら、やって来ないのよ」
「「なんだって!!」」
きっと僕とオーディンは、あんぐりと口を開けていたに違いない。
「なーんて。そんな訳ないじゃないバカね」
僕たちを見たステラが、おかしそうにクスクスと笑った。
「オーディン? あなたのお父さまは、帰ってくると小屋で作業をしていたんでしょ?」
「うん。いつも帰ってきたときに」
「それは夜でも?」
「もちろん」
「じゃあ、明かりがつくのね」
「まだ電気は通ってないからランタンを使ってる」
オーディンの答えに満足そうに頷いたステラは、窓の外を指さした。僕たちは、その先に目を向けた。
「小屋に明かりがついたら、この部屋まで届かない?」
「カーテンがなかったら明るいだろうな」
首をかしげるオーディンにステラは続けた。
「魔女の手に気が付いたのは、カーテンに映る影よね。ほら、そこに桜の枝があるわ」
「ステラまさか」
聞いていた僕は、頭に浮かんだ光景に、思わず声を出してしまった。
「そう。オーディンが魔女の手だと思ったのは、桜の枝の影だったのよ」
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