忍び寄る魔女 ★第194回妄想コンテスト「桜が嫌いな理由」優秀作品

ⅱ

　画商でもあるオーディンのお父さんは、僕を息子にしてくれた母ミッシェルの大ファンだった。絵画展に来ると絵を買うだけではなく、母が支援している教会の児童介護にも寄付をしていった。だからなのかオーディンは、僕に他の子みたいな嫌味を言わない。もしかしたら、お父さんを喜ばせるために仲良くしようとしているのかもしれない。
「ちょっと。みんな来なさすぎじゃない？」
　ステラが小動物のように口を動かしなら、オーディンに気づかれないよう器用に話しかけてきた。
「そうだね」
　苦笑いで答えながら、多分僕しか呼ばれていないことは言わないでおいた。そして僕を呼べばステラも来るはずだと思われていた事も。