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『みんなの気を引くために嘘まで言い出した』  9月になると良くない噂が流れはじめた。その発端は、夜になると部屋に魔女が現れるとオーディンが言い出したからだ。 「ねえ。君はどう思う? オーディンの噂」  学校の帰り、僕はステラがどう思っているのか聞いてみた。 「火のない所に煙はたたず。日頃の行いが火種じゃない?」 「そうだけど。嘘つくにしても魔女が来るなんて」 「まあ、オーディンだとしても幼稚すぎよね」  まったく興味のない口ぶりで、ステラは歩道の縁石に飛び乗った。僕は答えを期待せずに、その背中に問いかけた。 「真相を確かめに行ってみない? オーディンの部屋に」 「いいよ」 「……えっ! いいの!」  あっさりと返ってきたイエスに、受け取る間ができてしまった。きっと嫌がられると思っていた。 「なんで? いいよ、別に暇だし。これが本当なら怖がってるオーディン見たいし」  振り向いたステラは、わざと肩をゆらしてシッシと笑った。 「悪趣味だなー」 「好奇心旺盛と言って」
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