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「オーディン! ベッド借りていい?」
「あ、ああ」
僕はステラをベッドに横にさせようとした。けれどステラはベッドに腰をかけて頭をかかえて少し振ると顔を上げた。
「ごめん。大丈夫」
「ほ、ほんとに」
「うん」
狼狽えたていたオーディンに、ステラはしっかりと微笑んだ。
「ごめんなさい。急に夢がフィードバックして。オーディンの話を聞いて、嫌いな夢の中にいる人は、私のお母さんだったのかもしれないと思えて」
ステラが夢の話をする間、オーディンは静かに聞いていた。
「夢は記憶かもしれないってことか。まさかと思うけど。母さんの墓に大きな桜の樹があるんだ。良かったら、今度行ってみる?」
「ありがとう。桜が咲いた時に、お願いするわ」
桜のある場所は珍しい。僕はこれが、ステラがひとつのトラウマを乗り越える切っ掛けになればいいなと思った。
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