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「さ!そろそろ戻りましょうか!」
3階へ続く階段に背を向けてそう告げた。
俺はその階段を見つめる。
すると、一ノ瀬燈もちらりと視線を向けた。
「ほんとは行きたいんですけど、対策係なので絶対ダメです。真似されても困りますし。」
行きたいんですけど、というのは聞かなかったことにした。
「旧校舎3階はそんなに危ない場所なのか?」
行くな行くなと言われると気になってくるのが
人間というものだろう。
彼女は口元に手を当てて考える素振りを見せた。
「うーん……
立ち入った生徒が消える、とか
人格が変わる、とか
恐ろしい怪物に追い回された、とか
そんな話があります。」
どれも明らかに非現実的なものだ。
だがそれをこんなに真面目な顔で話している。
何しろ俺以外みんなこの状況を受け入れているんだ。
嘘はついてない。
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