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side春
みんなで講堂の裏に移動して、それぞれ舞台裏にある椅子に座った。
おれは人前で話すことが得意じゃないから…
自己紹介と簡単に一言話すだけだけどいっぱい練習しておかなきゃ…
と、1人黙々と考えてきた言葉を暗唱していたら…
「意外だな、生徒会役員が時間前に揃っているとは」
「ああ?」
「ちょっと!委員長、その言い方はないでしょ!」
舞台裏の入口から風紀委員長である棗と、副委員長である日野彰人が近づいてきた。
入ってきて早々に生徒会をバカにしたような発言にれおが怒ってるけど、多分あれ、悪気があって言ってるんじゃないよね…
いつだって遅刻をしない、問題を起こさない風紀委員会と比べると生徒会(特にれおとすずとゆず)は度々問題を起こしている。
そりゃ、言われてしまうのも仕方がないかもと思ってしまったし、ゆうとのあは苦笑いだから、大方おれとおんなじ考えだろう…
それに、あきだってなつのこと止めてたし、この話はここで終わるだろう。
れおだってここぐらい大目に見てくれる…ハズ
「玲央もそんなに突っかからない。彰人くん、すみませんね」
「いえいえ、こっちこそですよ!お互い、大変ですねぇ」
「そうですね」
ゆうがれおを宥めたあと、あきと話し始めたのでこの話は大丈夫だろうと隣にいるノアを見ると、背もたれにもたれかかって眠っていた。
あまりの寝入りの速さに俺は驚いたけど、もしかして朝おれの準備を手伝いに来るために早起きしてくれたのかな?
それで寝不足だったり?
だったら申し訳ないなぁ…
「の…あ…?」
やっぱり声、出にくいや…
ここにはよく知ってる人達しかいないのに…
いつになったら克服できるんだろう…
そう考えていると
「ん…?はるちゃん呼んだ…?」
とまだ眠そうな目でノアがこっちを見た。
「も…かし…て…お…れ…のせ…?ね…い…の」
小さくて途切れ途切れにしか聞こえない俺の声。
自分でも分かりにくいことを言ってるという自覚があるが、どうにも直せない。
しかし、のあは何を言ってるかが分かっているようで
「んーん。はるちゃんのせいじゃないよ。昨日遅くまで起きてた僕が悪いの。心配させちゃってごめんね?大丈夫だから気にしないでね」
「…ごめ…」
「はるちゃんのせいじゃないって」
ほんとに気にしないで、と笑うノアに申し訳ないと思いながら、おれはうん、と頷いた。
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