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おれは講堂からでて真っ先に教室棟へと向かった。
おれは運動は苦手では無いけど走るのが特別早かったりする訳では無いから、障害物を上手く使った方が逃げれると思ったんだ。
おれが選んだのは第1調理室。
さすがに同じところに来た人は居ないようで、1人きりだ。
なぜここを選んだかと言うと、もちろん障害物が多いのもそうだが、1階にあり、窓側には中庭があるため、もし入ってきたとしても、窓側に逃げれば外に出られると思ったから。
もし外に人がいたらだいぶ厳しいかもしれないけど、その時は頑張って逃げよう。
と今後の計画を練っていると、控えめにドアが開いた。
今の時刻は始まって12分。
まだどちらの陣営に見つかっても捕まらない時間だが…
警戒しながら開いたドアの方を見ているとそこに居たのは…
「春くん?」
「ふゆく!」
ふゆくんだった。
びっくりした。
ふゆくんは僕に気づくと静かにドアを閉めてこちらへ素早く近寄ってきた。
おれは会えた喜びからふゆくんに抱きついた。
「あはは。春くん僕と会えて嬉しいの?」
「ん!」
「めちゃくちゃ嬉しいかあ…僕もすっごく嬉しいよ」
ふゆくんはおれがなにも言わなくてもおれの言いたいことが分かる。
やっぱりずっと一緒にいるからかな?
でも最近は生徒会のみんなと食べてるから一緒に昼ごはん食べてないなあ…
「昼はほんとに気にしないでね?生徒会のみんなと仲がいいのはいい事だからさ」
「あり…と!」
「ふふっいーえ」
やっぱりふゆくんといると落ち着く。
あ、ふゆくんはぼくを捕まえるのかな?
聞いてみよーっと
「ふゆく…ぼく…つかま…え…る…?」
「ふふっどうしようかなぁ?あと、ぼくって出ちゃってるよ?春くん」
「あ!」
ついつい出ちゃった…
やっぱりふゆくんの前だと素の自分になっちゃうというか、昔に戻っちゃう、という…か…
「春くん?昔のこと思い出しちゃったの?」
「あ…う…ごめ…」
「ふふっ謝ることはないよ。だけど、昔のことは春くんにとって辛い事だし思い出さなくていいんだよ?それに、ぼくって言うのは決して悪いことじゃない」
「…」
やっぱりふゆくんにはぼくのことはお見通しなんだ…
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