159人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーピピッ、ピピッ、ピピッ、ピッ
7時5分、とある寮室にスマホのアラームの音が鳴り響いた。
アラームを止めベッドから起き上がったその部屋の主は目を擦りゆっくりとまぶたを開けた。
「んぅ?…きょ…は…にゅ…う…が…し…か」
所々が不鮮明な彼の呟きの通り今日は私立桜崎学園高等部の入学式の日である。
入学式は8時20分から。
教室への集合時間は8時であるため、今から準備をすれば余裕で間に合うだろう。
しかしこの青年、春は、任命式も兼ねている今日の式において生徒会書記に任命されるので、一般生徒よりも早く集合して準備を行わなければならないのだ。
しかし春は睡眠をこよなく愛するが故に、こんなにギリギリの時間まで寝ていた。
移動などの時間も含めて考えるとあと20分で朝ごはんを食べ、準備をして部屋を出ないといけない。
春はゆっくりとベッドから降り、眠気まなこのままパジャマを脱ぎ、制服に着替え始めた。
「ピンポーン」
部屋のインターホンが鳴った。
春は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに納得したような顔で玄関へ向かい、インターホンを鳴らした相手を確認もせずドアを開けた。
「春ちゃん、おはよ。いつも言ってるけど相手も確認せずにドア開けちゃダメだからね?」
そう言って部屋に入ってきたのは、同じく生徒会会計に抜擢された大西ノアだ。
「ん…ごめ…」
「まあ、予め僕が来るって言ってたから安心して開けたんだと思うけど、何があるか分からないからね?」
そう苦笑してノアは持ってきた食材をキッチンへ運び、朝食を作り始めた。
とは言っても、元々作って来ていたものを並べているだけではあるが。
春がこんなにもギリギリの時間に起きたのはこの面倒見がいい幼馴染が「式の最中に寝られるぐらいなら僕が朝手伝いに行くよ」と言ってくれたからである。
そして春が着替え終わった頃にはご飯の用意が終わっていた。
「「いただきます」」
そう言って向かい合わせに座った2人はご飯を食べ始めた。
2人とも朝は余り入らないので、軽めのメニューである。
10分程で食べ終わり、その後歯を磨いて春の寝癖を少し直したら出発の時間になっていたので2人は揃って部屋を出た。
最初のコメントを投稿しよう!