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 これを逃したらこんな機会は二度と来ない。  春斗は脱がされて何も身に着けていないのに、この時点で葵はまだ浴衣を纏っていたし、それほど着崩れてもいないこともずっと引っかかっていた。  すること感じること一つ一つが初めての自分と違って、葵には余裕があって、当たり前だけど大人で、まだ逃げる余地を残しているのだった。欲情はしてくれたみたいだが、「やめる?」と尋ねるゆとりがある。春斗が頷いたら、もうここで終わりになってしまう。  春斗は膝立ちになってにじり寄り、葵の肩から浴衣を落とし、抱きついた。  首筋にキスをし、耳朶を舐めてしゃぶった。 「くすぐったいよ」 「俺、やめたくない」  裸の身体をぎゅっと抱きしめて、ぽつりと言った。 「でもこわいんじゃないの?」  葵の少し甘めのいい声が、身体を伝って直接聞こえてくる。  春斗は手を緩めて葵に向き直り、自分の方から口づけた。  そして、今自分がされたことと同じことをしてみた。  口を覆うように押し当てて吸い、唇をなぞるように舐め、舌を入れた。こじ開けなくても葵は迎え入れてくれ、「よくできました」と言うかわりに、舌の裏側を舌でやさしく擦ってくれた。
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