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「ごめんなさい」
洗面台で軽く口をゆすいでベッドに戻って来た葵に、春斗は素直に頭を下げた。
「どうだった? 気持ちよかった?」
有り体に問われ、春斗は真っ赤な顔で頷いた。
「すごく良くて、我慢できなくて……。ごめんなさい」
「いいなら良かったよ」
初めての時に気持ちいいと思えるか、苦痛に感じるかは後の性生活に大きく影響すると言い、葵はほっとしたように微笑んだ。
「……口で、するなんて、思ってなかった」
春斗は恥ずかしくて仕方ないのに、葵はなぜかにやにやしている。
「笑わなくてもいいじゃん」
「そういう意味じゃないよ」
拗ねてむくれる春斗は葵に手招きされ、素直にそばに寄り肩にもたれた。
ぷんとふくれつつも身体を触れ合わせられることが嬉しくて、投げ出された葵の手をとり、長い指に自分の指を絡めてもてあそぶ。
「……葵さんはさ、いいの?」
「なにが」
ベッドのヘッドボードにもたれ、春斗の薄い肩に手を回した葵は、その視線の先に思わず苦笑した。
硬く張り詰めた葵の中心がボクサーパンツを押し上げ、結構な状態になっている。春斗は顔を赤らめつつじっと見ていた。
「きつくないの」
「まあ、見てのとおりだよね」
はははと笑い、「そのうちおさまるから」と軽口を叩いた。
自分とのことで葵が少しでも興奮してくれたなら震えるほど嬉しい。でも、本音を言えば、これが最後ならばそれだけでは足りないと春斗は思っていた。
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