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「え……」
だから自分はパンツを穿いていないのか、と理解しつつも、葵に下着を洗わせてしまった羞恥に変な汗が出る。
「お前は覚えてないかも知れないけどな、寝落ちしたお前をバスルームに連れて行って身体を洗って、拭いて、服を着せてベッドに入れて、下着を洗って、もうこの時点で疲れ果てたよね」
そう言われてなんとなく思い出してきた。耳に残るシャワーの音にボディシャンプーの匂い。夢の中のことのようにぼんやりとしている。
「だから自分のことはもういいや、って。……なんで照れてんの」
「なんか、ごめん」
「おう、もっと謝っていいんだぞ。とにかく血迷いすぎだからな」
ゆうべから葵にぶつけた数々の告白に嘘はないけれど、これまでずっと長く心の奥に秘めていただけに余計に暴発した自覚はあった。
「なーんてな。謝るな。どう考えても悪いのは俺だ。全人類に非難される」
「葵さんは悪くない」
隣でふっと笑うから、横になったまま葵に目をやれば、葵もじっと春斗を見つめていた。
距離の近さ、視線の柔らかさにどきっとする。
走り出した鼓動に気付かれないよう、春斗はぎゅっと唇を噛みしめた。
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