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 「人は生命を終えると、天国というところに行くそうだ。  私達はどこに行くんだろうね……記憶は消えないから、この世界に永遠に(とど)まることになるのか」  きしむような声に、私は(つら)くなった。  交換を拒否して三十年。この島には私と彼しかいない。  彼の寿命が尽きたら、記憶部品(メモリ)を取りだすことになっている。  まさか、三十年がこんなに早く過ぎ去るとは思いもしなかった。
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