伝説

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伝説

ケガの間は何もする事が無い、休むことが仕事だ。 その間に全く俺と同じ血統の弟がデビューする事になった。 名前は「ディープインパクト」。 まあ、競馬の世界では同じ母親がそう何度も優秀な馬を輩出できる可能性は低い。 俺は皐月賞ではボロ負けしてしまったけどG2を勝った事があるれっきとしたオープン馬だ。 それに弟は体が小さく、価格も俺より安かった。 おそらくそんなに勝てないだろうが、頑張って欲しい。 そんな風に思っていたのに・・・ 1年後、弟は「飛翔する馬」という二つ名を付けられていた。 身体は小さいのにエンジンは大型クラス。 俺がボロ負けした皐月賞に弟も出走した。 レース開始直後、弟はつまずいて立ち止まってしまい大きく出遅れる。 その間に他の17頭は遥か先に進む。 ぽつんと後ろに取り残された弟。 ああ、弟よ、お前もか。 兄弟そろってボロ負けだな・・・え?・・・いや・・・嘘だろ⁉ 弟はグングンと勢いを増し、絶望的な不利を物ともせず17頭をこぼう抜きすると 最後の直線に入る時には先頭に立ち、さらにぶっちぎった!!! 1着!! ディープインパクト伝説の始まりだった。
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