兄より優れた弟など

紅白歌手

種馬となって3年が経過した。
弟は1年目から強い馬を出していたのに、俺の仔に強い馬はいなかった。

しかもディープインパクトの兄という触れ込みで多くの産駒を競馬場に送り出したのに、結果を出す馬は現れない。

「やっぱり血は同じでもダメか・・・ディープインパクトは体型もパーフェクトだったからな、お兄さんは体が大きすぎる」

俺の種馬としての価値が怪しくなった頃。
一人の高齢男性が俺の仔を買って行った。

なんでも歌手として大成功して金は腐るほどあるからと50年近く馬を買い続けているが、強い馬を所有した事が一度もないらしい。

その男性は自分の名前、北島三郎の名字と名前から「キタサン」。
そして俺の名前ブラックタイドから「ブラック」。

それぞれを足して「キタサンブラック」と名付けた。

何とも安直な名前だ。

その子もきっと大して強くないだろう。
俺の種馬人生も終わりだな。