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「緑ちゃん。素子、こないだの月曜日、とうとうお兄ちゃんに告ったみたいなんだ」
「え?」
木下素子さんは菜摘ちゃんの高校の友人。半年前に会社でセクハラにあって、退職した可哀想な子。
「お兄ちゃん、店に来て時間潰してた素子に色々奢ってあげたり、話聞いて励ましたりしてたからね。前からお兄ちゃん好きだったみたいだから、色々勘違いしたかもしれない」
「奏ちゃんは返事……」
「それがさあ。辛いことあって通常の感情じゃないかもしれないから、また働き出して落ち着いてから良く考えてみたほうがいい、とか言ったらしい」
「は、そうなんだ」
「それよりさあ、リハビリもかねてしばらく店で働かせてくださいって、素子が頼んだらOKしちゃったらしくて。来週、月曜日から来るらしいよ。困ったもんだ。絶対無意識だけど、素子は勘違いして喜んでた。緑ちゃん、いいの?このままで。素子は友達だし、事情も事情だからしょうがないけどさ。お兄ちゃん鈍感星人だから、はっきり言わないとダメだよ。このまま絆されて素子とどうにかなったって知らないよお」
菜摘ちゃんには、というかお兄とか親とかにもバレてるくらい、奏ちゃんへの片想い歴は長い。
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