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 何も言えなかった。本当にこんなことあるんだなと思う。 「篠原さんも、片想いしてた割に、僕にもちょっとは揺らいでたよね?」 「はい。諦めかけてましたから。木下さんは私にはもったいないイケメンです。顔も性格も」 「……ったくもう、略奪するぞ、そんなこと言うなら」    ふたりで、笑いながらおかずを食べる。 「これからも、先輩、仕事よろしくお願いします」 「何かあれば、相談乗るよ。僕に新しい人が出来るまで」  また、冗談言って私に優しくしてくれる。 「妹も、近いうちにバイト辞めるから許してやって」 「そんな、私には何の権限もありません」 「あいつも、さすがに居づらいだろうし。結婚はいつになるの?」 「式は三カ月後を目指してます。兄嫁が安定期の五ヶ月頃にやってあげたいので」 「無茶言うよな」 「実は籍を先に入れて、同居します。実家は隣なんで、あんまり変わらないですけど」 「あの人、囲い込み方本当怖い。大丈夫?籠の鳥になりそうじゃん」 「そうですねー、意外でした。新たな一面にビックリです」  じっと彼が私を見つめる。 「……君のこと本気だった。何かあればまだいくらでも僕は待ってるから」  
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