自由時間

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さて、自由時間の終わりも近づいてきた。 日時計は午後の九時を指している。 あくまでも「日時計は」である。 日が沈んでいる間は常に午後九時を指しているため、実際は何時か分からない。 そして明日は…… 彼らにとっての、初・出勤の日だッ! と、同時に、牢獄暮らしも終わることになるだろう。 明日はきっと、幸せな生活を送っている! ワックワクな五人。そう、五人。 警官も、今日で、この罰ゲームのような仕事が終わるのだ!! 「お前らには、明日のために、スマホを1人1台渡しておく。」 「す、すまほっ!?」 「必ず、明日のため、朝の4時にアラームをセットしておくこと。」 「どーやってセットすんのかわかりませぇーん!」 こいつら、スマホもまともに触ったこと無いのか!? 「まず、この時計マークのアイコンを押す」 「ポチっとな!」 「わぁぁ!光ったよ!!」 「ねーぇー!電気つかないー!」 高齢者向けの初めてスマホでこの状態。キッズ携帯の方が良かったか? このままだと、3日後には壊れていてもおかしくない。 「もういい。預かっておくからお前らは水浴びの用意しとけ。」 「やーだー!僕のとらないでーー!」 スマホを無理やり奪い取り、脱衣場に押し込む。 いつもより丁寧に体を洗ってやり、髪も自然乾燥ではなく、ハンディファンで乾かす。 もちろん、彼らの為でなく、彼らと働くことになる職場の皆様の為だ。 強制消灯。 彼らのための布団は、昼に自分自身で作らせておいた。材料はティッシュオンリーだが、それなりに、上手くやった様だ。 鳥の巣と、何ら変わりは無いが。 彼らの夜のトイレ掃除も免除。代わりに警官が掃除をする。 そして警官も、最後の役目を終え、開放感に喜びの涙を流した。 天井裏のスペースに布団を敷く。もちろんティッシュでは無い。 (明日は家に帰れる……!) これで、久々に安らかに就寝できる。 はずだった……
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