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下の牢獄から、甲高い叫び声がする。
反射的に起き上がり、ごま油の瓶を持って構えた。
「ねーむーれーなーいー!!!」
牛田である。
「ねね!恋バナしよっ!!」
神田の提案に、全員が賛成した。
腕時計をみると、23時。
やっと寝られる……と思った矢先の悲劇だ。
「じゃあ、僕からね!!」
ノリノリの神田。
「僕……とは何だ……」
天井裏の警官は、右手に持ったごま油の瓶(怒り)を、左手(理性)で抑える。
今、奴らを汚したら、せっかく綺麗にしてやったのが台無しである。
警官は耳栓をねじ込み、気にせず寝ることにした。
「僕ね!ちっちゃい頃ね!好きな男の子がミンチになっちゃったんだ!」
奴の大声の前では、耳栓など無意味。
(は?)
無理だ……やはり、コイツらに恋バナなど無理だ……
天井裏の警官は、ため息をついた。
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