メルヘンロリータガールの休日

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 肩で息をする。乱れた息を整えて、周囲を見渡す。さっきのナンパ男はいないようだ。私はほっと胸を撫で下ろす。  ふと窓に写る自分の姿を見る。高い位置の黒髪ツインテに、ヘッドドレスとフリルのついたワンピース。ボルドーで合わせた少しダークなコーデ。パニエを下に着ているから、スカート部分はふんわりとしている。  顔も見る。レッド系のアイシャドウに、紫っぽい赤のリップ。服に合わせた赤い赤いメイク。眉は平行に、肌はどこまでも白く。人によってはゴスロリに見えるかもしれない。もちろん涙袋もしっかりと。うんうん、崩れてない。やっぱりデパコスってすごい。私は一人頷く。  夕方の上り電車は空いていて、私は遠慮せず席に座った。他の乗客とは間隔があって、スカートの広がり具合を気にせず座れる。  妹に自撮りを送る。百均に行く前、街で撮ったものだ。メイクが崩れる前に撮るのがポイントだ。 「今日はダークな気分だったの。どう?」  既読はすぐにはつかない。妹は忙しいのだ。  暇になった私はワイヤレスイヤホンを着け、K-POPを流す。ロリータらしくクラシックを聴いていた時期もあったけれど、私には合わず結局やめてしまった。内面から整えてもいいけれど、理想に固執せずに自分の好きなものを好きなだけ摂取するのが精神的には良いと思う。  音に揺られる。
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